4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。 (1) 図書館は,「図書,記録その他必要な資料を収集し,整理し,保存して,一般公衆の利用に供し,その教養,調査研究,レクリエーション等に資することを目的…
(2) これを本件においてみると,原告らは,被告靖國神社に対し,被告靖國神社が所有する霊璽簿等から,本件戦没者の氏名を抹消すること及び慰謝料の支払を求めているところ,それらの訴訟物は人格権に基づく妨害排除請求権及び不法行為に基づく損害賠償請…
2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。 (1) 本件神社は,全国に多数存在する白山神社の総社として市内に所在する神社であり,宗教法人である。本件神社は,古来からその存在が知られており,例年多数の初詣の参詣客が訪れるとと…
憲法89条は,公の財産を宗教上の組織又は団体の使用,便益若しくは維持のため,その利用に供してはならない旨を定めている。その趣旨は,国家が宗教的に中立であることを要求するいわゆる政教分離の原則を,公の財産の利用提供等の財政的な側面において徹…
控訴人らは,技術の常識からも,Nシステムの目的からも,一部又は全部の車両について画像の保存がされていることは明らかであると主張する。 しかしながら,これらは明確な裏付けを欠く憶測にすぎず,控訴人ら主張の事実を認めるに足りる証拠はない。 ア 控…
(1) 憲法13条は,国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものであり,個人の私生活上の自由の一つとして,何人も,個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有するものと解される(最高裁…
しかしながら,憲法の基本的人権規定は私人相互の関係を直接規律するものではなく,私的自治に関する一般的制限規定である民法1条,90条や不法行為に関する諸規定等の適用によって間接的に私人間にその趣旨を及ぼすものと解するのが相当であるから,憲法…
(3) 以上によれば,本件区別については,これを生じさせた立法目的自体に合理的な根拠は認められるものの,立法目的との間における合理的関連性は,我が国の内外における社会的環境の変化等によって失われており,今日において,国籍法3条1項の規定は,日…
二 ところで、本件決議に係る増額分の年会費二〇〇〇円は、本件各会への募金及び寄付金に充てるために集金され、集金後その年度内に本件各会に募金及び寄付金として支払われることが予定されていたものである。しかし、募金及び寄付金は、その性格からして、…
(2) 次に、原告は、被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求の前提となるから本件確認の訴えについて確認の利益があると主張する。本件確認の訴えは、上記(1)及び(2)の決議の無効という過去の法律関係の有効性の確認を求める訴えであるところ、過…
司法書士会が行うことができる注意勧告の内容は,会員に対して注意を促し,必要な措置を講ずべきことを勧告するというものであり,本件注意勧告の内容も第2の1,(2),クのとおりのものであって,それ自体は,注意と勧告を行ったにとどまり,原告の権利…
(4) 所論は,本件機器は,対面販売の実質を有しているので,本条例にいう「自動販売機」に当たらない旨主張する。しかしながら,上記の事実関係によれば,本件機器が対面販売の実質を有しているということはできず,本件機器が客と対面する方法によらずに…
性同一性障害者につき性別の取扱いの変更の審判が認められるための要件として「現に子がいないこと」を求める性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号の規定は,現に子のある者について性別の取扱いの変更を認めた場合,家族秩序に混乱…
(1) 所論は,即決裁判手続において事実誤認を理由とする控訴を制限する刑訴法403条の2第1項は,裁判を受ける権利を侵害し,憲法32条に違反する旨主張する。 しかしながら,審級制度については,憲法81条に規定するところを除いては,憲法はこれ…
刑訴法157条の3は,証人尋問の際に,証人が被告人から見られていることによって圧迫を受け精神の平穏が著しく害される場合があることから,その負担を軽減するために,そのようなおそれがあって相当と認められるときには,裁判所が,被告人と証人との間…
以上の事実関係によれば、本件削除部分は、多くの視聴者が注目するテレビジョン放送において、その使用が社会的に許容されないことが広く認識されていた身体障害者に対する卑俗かつ侮蔑的表現であるいわゆる差別用語を使用した点で、他人の名誉を傷つけ善良…
憲法17条は,「何人も,公務員の不法行為により,損害を受けたときは,法律の定めるところにより,国又は公共団体に,その賠償を求めることができる。」と規定し,その保障する国又は公共団体に対し損害賠償を求める権利については,法律による具体化を予…
労働組合の規約により組合員の納付すべき組合費が月を単位として月額で定められている場合には、組合員が月の途中で組合から脱退したときでも、特別の規定又は慣行等のない限り、その月の組合費の全額を納付する義務を免れないものというべきであり、所論の…
(4) さきに説示したように、労働組合は、その目的を達成するために必要な政治活動等を行なうことを妨げられるわけではない。したがつて、本件の地方議会議員の選挙にあたり、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動を推進することとし、統一候補…
右の次第であるから、地公法三七条一項前段において地方公務員の争議行為等を禁止し、かつ、同項後段が何人を問わずそれらの行為の遂行を共謀し、そそのかし、あおる等の行為をすることを禁止したとしても、地方住民全体ないしは国民全体の共同利益のための…
(一) 公労法一七条一項の規定が憲法二八条に違反するものでないことは、当裁判所の確定した判例であり(昭和二六年(あ)第一六八八号同三〇年六月二二日大法廷判決・刑集九巻八号一一八九頁及び前記東京中郵事件判決)、この結論については、今日でも変更…
一 よつて考えるに、憲法二八条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利」、すなわちいわゆる労働基本権を保障している。この労働基本権の保障は、憲法二五条のいわゆる生存権の保障を基本理念とし、憲法二七条の勤労の権利および…
(イ) ところで、地公法三七条、六一条四号の各規定が所論のように憲法に違反するものであるかどうかについてみると、地公法三七条一項には、「職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地…
上告趣意は、公労法一七条一項の規定が憲法二八条および一八条に違反して無効であるという。しかし、右の規定が憲法の右の法条に違反するものでないことは、すでに当裁判所の判例とするところであり(前者については、昭和二六年(あ)第一六八八号同三〇年…
(5) 以上のとおり、原告は、その中学時代の通学状況、学習能力、身体能力及び成績並びに本件高校における過去の身体障害者受入れの実績、施設及び教科履修などの点からしても、本件高校の全課程を履修することは可能であると認められるにもかかわらず、養…
三 以上の事実関係の下において、原審は、被上告人Aの前記二1(一)の日本史の授業における教科書使用状況は、それを使っての通史的授業が相当簡略になったものと認められるところから、学校教育法五一条、二一条に違反し、同(二)の日本史の考査問題の出…
そして、この観点に立つて考えるときは、まず親は、子どもに対する自然的関係により、子どもの将来に対して最も深い関心をもち、かつ、配慮をすべき立場にある者として、子どもの教育に対する一定の支配権、すなわち子女の教育の自由を有すると認められるが…
憲法二六条は、すべての国民に対して教育を受ける機会均等の権利を保障すると共に子女の保護者に対し子女をして最少限度の普通教育を受けさせる義務教育の制度と義務教育の無償制度を定めている。しかし、普通教育の義務制ということが、必然的にそのための…
二 そこで、まず、本件併給調整条項が憲法二五条に違反するものでないとした原判決が同条の解釈適用を誤つたものであるかどうかについて検討する。 憲法二五条一項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定しているが、…
一 憲法一四条一項は、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と規定している。この規定は、国民に対し、法の下における平等を保障したものであるから…