Pacta Sunt Servanda

「合意は拘束する」自分自身の学修便宜のため、備忘録ないし知識まとめのブログです。 ブログの性質上、リプライは御期待に沿えないことがあります。記事内容の学術的な正確性は担保致しかねます。 判決文は裁判所ホームページから引用してますが、記事の中ではその旨の言及は割愛いたします。

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

百選140事件 旭川学テ事件(最大判昭和51年5月21日)

そして、この観点に立つて考えるときは、まず親は、子どもに対する自然的関係により、子どもの将来に対して最も深い関心をもち、かつ、配慮をすべき立場にある者として、子どもの教育に対する一定の支配権、すなわち子女の教育の自由を有すると認められるが…

百選ⅡA 6事件 教科書費国庫負担請求権(最大判昭和39年2月26日)

憲法二六条は、すべての国民に対して教育を受ける機会均等の権利を保障すると共に子女の保護者に対し子女をして最少限度の普通教育を受けさせる義務教育の制度と義務教育の無償制度を定めている。しかし、普通教育の義務制ということが、必然的にそのための…

百選137事件 堀木訴訟(最大判昭和57年7月7日)

二 そこで、まず、本件併給調整条項が憲法二五条に違反するものでないとした原判決が同条の解釈適用を誤つたものであるかどうかについて検討する。 憲法二五条一項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定しているが、…

牧野訴訟(東京地判昭和43年7月15日) 

一 憲法一四条一項は、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と規定している。この規定は、国民に対し、法の下における平等を保障したものであるから…

百選136事件 朝日訴訟(最大判昭和42年5月24日)

おもうに、生活保護法の規定に基づき要保護者または被保護者が国から生活保護を受けるのは、単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく、法的権利であつて、保護受給権とも称すべきものと解すべきである。しかし、この権利は、被保護者自…

百選130事件 家事審判法による審判の合憲性(最大決定昭和40年6月30日)

これを要するに、夫婦の一方が故なく同居しない、又は同居させない場合に、他の一方から同居すべきこと又は同居させるべきことを求める争訟においては、同居義務の存否を確認し、義務ありとすればこれが履行を命ずる裁判をなすべきであつて、その性質は、純…

裁判を受ける権利(最大判昭和24年3月23日)

按ずるに憲法第三二条は、何人も裁判所において裁判を受ける権利を奪はれないと規定しているが、同条の趣旨は凡て国民は憲法又は法律に定められた裁判所においてのみ裁判を受ける権利を有し、裁判所以外の機関によつて裁判をされることはないことを保障した…

百選122事件 交通事故の報告義務と黙秘権(最大判昭和37年5月2日)

しかしながら、道路交通取締法(以下法と略称する)は、道路における危険防止及びその他交通の安全を図ることを目的とするものであり、法二四条一項は、その目的を達成するため、車馬又は軌道車の交通に因り人の殺傷等、事故の発生した場合において右交通機…

百選121事件 高田事件(最大判昭和47年12月20日)

当裁判所は、憲法三七条一項の保障する迅速な裁判をうける権利は、憲法の保障する基本的な人権の一つであり、右条項は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、さらに個々の刑事…

百選120事件 死刑と残虐な刑罰(最大判昭和23年3月12日)

生命は尊貴である。一人の生命は、全地球よりも重い。死刑は、まさにあらゆる刑罰のうちで最も冷厳な刑罰であり、またまことにやむを得ざるに出ずる窮極の刑罰である。それは言うまでもなく、尊厳な人間存在の根元である生命そのものを永遠に奪い去るものだ…

百選119事件 川崎民商事件(最大判昭和47年11月22日)

所論のうち、憲法三五条違反をいう点は、旧所得税法七〇条一〇号、六三条の規定が裁判所の令状なくして強制的に検査することを認めているのは違憲である旨の主張である。たしかに、旧所得税法七〇条一〇号の規定する検査拒否に対する罰則は、同法六三条所定…

百選115事件 成田新法事件(最大判平成4年7月1日)

「 そこで検討するに、本法三条一項一号に基づく工作物使用禁止命令により保護される利益は、新空港若しくは航空保安施設等の設置、管理の安全の確保並びに新空港及びその周辺における航空機の航行の安全の確保であり、それに伴い新空港を利用する乗客等の生…

百選113事件 福岡県青少年保護育成条例事件(最大判昭和60年10月23日)

そこで検討するのに、本条例は、青少年の健全な育成を図るため青少年を保護することを目的として定められ(一条一項)、他の法令により成年者と同一の能力を有する者を除き、小学校就学の始期から満一八歳に達するまでの者を青少年と定義した(三条一項)上…

第百選112事件 第三者所有物没収事件(最大判昭和37年11月28日)

しかし、第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者に対し、何ら告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であつて、憲法の容認しないところであるといわなければならない。けだし、憲法二九…

百選111事件 帆足計事件(最大判昭和33年9月10日)

しかし憲法二二条二項の「外国に移住する自由」には外国へ一時旅行する自由をも含むものと解すべきであるが、外国旅行の自由といえども無制限のままに許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべきである。そして旅券発給を…

予防接種事故と補償請求(最二判平成10年6月12日)

したがって、不法行為の被害者が不法行為の時から二〇年を経過する前六箇月内において右不法行為を原因として心神喪失の常況にあるのに法定代理人を有しなかった場合において、その後当該被害者が禁治産宣告を受け、後見人に就職した者がその時から六箇月内…

百選108事件 河川附近地制限令事件(最大判昭和43年11月27日)

よつて按ずるに、河川附近地制限令四条二号の定める制限は、河川管理上支障のある事態の発生を事前に防止するため、単に所定の行為をしょうとする場合には知事の許可を受けることが必要である旨を定めているにすぎず、この種の制限は、公共の福祉のためにす…

百選107事件 土地収用法における補償の価格(最一判昭和48年10月18日)

おもうに、土地収用法における損失の補償は、特定の公益上必要な事業のために土地が収用される場合、その収用によつて当該土地の所有者等が被る特別な犠牲の回復をはかることを目的とするものであるから、完全な補償、すなわち、収用の前後を通じて被収用者…

百選106事件 農地改革事件(最大判昭和28年12月23日)

三、以上に述べた理由により自創法六条三項の買収対価は憲法二九条三項の正当な補償にあたると解するを相当とし、これと異なる上告人の主張はすべて独自の見解に立つものであつて採用することはできない。従つてまた原判決が憲法二九条三項に反するという論…

百選105事件 私有財産を「公共のために用ひる」の意義(最二判昭和29年1月22日)

論旨は、本件の宅地はD外三名の耕作者が夫々住家を設けその敷地等に使用しているのであるから、被上告人が本件宅地を買収しても右D外三名に売渡す外なく、結局買収の目的は特定個人四名の耕作者の利益を図ることに存するから、公共性がなく憲法二九条三項…

地価高騰と財産権(大阪地判平成7年10月17日)

ただ、本件特例の根拠条文である措置法六九条の四第一項によれば、文言上は何らの限定も付されていないから、この法律は具体的な相続を巡る個別的事情は一切問わず、相続開始前三年以内に被相続人が取得した土地等については一律にこれを適用すべきものとさ…

百選103事件 奈良県ため池条例事件(最大判昭和38年6月26日)

一 先ず、本条例制定の趣旨および本件において問題となつている本条例の条項の法意を考えてみるに、記録によると、奈良県においては、一三、〇〇〇に余まるかんがいの用に供する貯水池が存在しているが、県下ならびに他府県下における貯水池の破損、決かい等…

百選101事件 森林法共有林事件(最大判昭和62年4月22日)

所論は、要するに、森林法一八六条を合憲とした原判決には憲法二九条の解釈適用を誤つた違法がある、というのである。 一 憲法二九条は、一項において「財産権は、これを侵してはならない。」と規定し、二項において「財産権の内容は、公共の福祉に適合する…