Pacta Sunt Servanda

「合意は拘束する」自分自身の学修便宜のため、備忘録ないし知識まとめのブログです。 ブログの性質上、リプライは御期待に沿えないことがあります。記事内容の学術的な正確性は担保致しかねます。 判決文は裁判所ホームページから引用してますが、記事の中ではその旨の言及は割愛いたします。

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

百選99事件 酒類販売業免許拒否処分取消請求事件(最三判平成4年12月15日)

そこで、本件処分の理由とされた酒税法一〇条一〇号の免許基準について検討するのに、同号は、免許の申請者が破産者で復権を得ていない場合その他その経営の基礎が薄弱であると認められる場合に、酒類販売業の免許を与えないことができる旨を定めるものであ…

百選98事件 西陣ネクタイ事件(最三判平成2年2月6日)

国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらずあえて当該立法を行うというように、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法一条一項の適用上、違法の評価を受けるものでないことは、当裁判所の判例…

百選97事件 薬局開設の距離制限(最大判昭和50年4月30日)

(ロ) ところで、薬局の開設等について地域的制限が存在しない場合、薬局等が偏在し、これに伴い一部地域において業者間に過当競争が生じる可能性があることは、さきに述べたとおりであり、このような過当競争の結果として一部業者の経営が不安定となるおそ…

百選96事件 小売市場事件(最大判昭和47年11月22日)

憲法二二条一項は、国民の基本的人権の一つとして、職業選択の自由を保障しており、そこで職業選択の自由を保障するというなかには、広く一般に、いわゆる営業の自由を保障する趣旨を包含しているものと解すべきであり、ひいては、憲法が、個人の自由な経済…

公衆浴場営業不許可処分取消事件(最三判平成元年3月7日)

おもうに、法二条二項による適正配置規制の目的は、国民保健及び環境、生の確保にあるとともに、公衆浴場が自家風呂を持たない国民にとって日常生活上必要不可欠な厚生施設であり、入浴料金が物価統制令により低額に統制されていること、利用者の範囲が地域…

公衆浴場法違反被告事件(最二判平成元年1月20日) 

弁護人林弘ほか二名の上告趣意は、公衆浴場法二条二項による公衆浴場の適正配置規制及び同条三項に基づく大阪府公衆浴場法施行条例二条の距離制限は憲法二二条一項に違反し無効であると主張するが、その理由のないことは、当裁判所大法廷判例(昭和二八年(…

百選94事件 公衆浴場の適正配置規制(最大判昭和30年1月26日)

しかし、公衆浴場は、多数の国民の日常生活に必要欠くべからざる、多分に公共性を伴う厚生施設である。そして、若しその設立を業者の自由に委せて、何等その偏在及び濫立を防止する等その配置の適正を保つために必要な措置が講ぜられないときは、その偏在に…

百選93事件 第一次家永教科書事件上告審(最三判平成5年3月16日)

1 所論は、要するに、学校教育法二一条一項(昭和四五年法律第四八号による改正前のもの、以下同じ)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの、以下同じ)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号、以下「旧検定規則」という)、旧教…

百選91事件 ポポロ事件(最大判昭和38年5月22日)

論旨のうちで、原判決には憲法二三条の学問の自由に関する規定の解釈、適用の誤りがあると主張する点について見るに、同条の学問の自由は、学問的研究の自由とその研究結果の発表の自由とを含むものであつて、同条が学問の自由はこれを保障すると規定したの…

百選13事件 猿払事件(最大判昭和49年11月6日)

(三) 以上の観点から本件で問題とされている規則五項三号、六項一三号の政治的行為をみると、その行為は、特定の政党を支持する政治的目的を有する文書を掲示し又は配布する行為であつて、政治的偏向の強い行動類型に属するものにほかならず、政治的行為の…

百選90事件 道交法による集団行進の規制(最三判昭和57年11月16日)

しかし、道交法及び長崎県道交法施行細則の右各規定は、「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資する」という目的(道交法一条参照)のもとに、道路を使用して集団行進をしょうとする者に対しあ…

百選88事件 徳島市公安条例事件(最大判昭和50年9月10日)

これを道路交通法七七条及びこれに基づく徳島県道路交通施行細則と本条例についてみると、徳島市内の道路における集団行進等について、道路交通秩序維持のための行為規制を施している部分に関する限りは、両者の規律が併存競合していることは、これを否定す…

百選A4事件 東京都公安条例事件(最大判昭和35年7月20日)

本件において争われている昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例(以下「本条例」と称する)が憲法に適合するや否やの問題の解決も、結局、本条例によつて憲法の保障する表現の自由が、憲法の定める濫用の禁止と公共の福…

百選86事件 泉佐野市民会館事件(最三判平成7年3月7日)

3 本件条例七条一号は、「公の秩序をみだすおそれかある場合」を本件会館の使用を許可してはならない事由として規定しているが、同号は、広義の表現を採っているとはいえ、右のような趣旨からして、本件会館における集会の自由を保障することの重要性よりも…

百選85事件 皇居前広場事件(最大判昭和28年12月23日)

上告人の原審における本訴請求の趣旨は、上告人の昭和二六年一一月一〇日附「昭和二七年五月一日メーデーのための皇居外苑使用許可申請」に対して被上告人が同年三月一三日になした不許可処分は違法であるから、これが取消を求めるというのである。そして、…

百選80事件 外務省秘密電文漏洩事件(最一決定昭和53年5月31日)

一 国家公務員法一〇九条一二号、一〇〇条一項にいう秘密とは、非公知の事実であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいい(最高裁昭和四八年(あ)第二七一六号同五二年一二月一九日第二小法廷決定)、その判定は司法判断に…

百選79事件 TBSビデオテープ押収事件(最二決定平成2年7月9日)

所論は、まず、警視庁高輪警察署派遣警視庁刑事部捜査第四課司法警察員がAに対する傷害、暴力行為等処罰に関する法律違反被疑事件について平成二年五月一六日申立人方においてしたビデオテープの差押は憲法二一条に違反する旨主張する。 そこで検討すると、…

百選78事件 博多駅事件(最大決定昭和44年11月26日)

抗告人本人らの抗告理由、抗告人代理人弁護士村田利雄の追加理由および抗告人代理人弁護士妹尾晃外二名り理由補充第一について。 所論は、憲法二一条違反を主張する。すなわち、報道の自由は、憲法が標榜する民主主義社会の基盤をなすものとして、表現の自由…

百選77事件 レペタ事件(最大判平成元年3月8日)

二 憲法八二条一項の規定は、裁判の対審及び判決が公開の法廷で行われるベきことを定めているが、その趣旨は、裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすることにある。 裁判の公開…

百選76事件 報道の自由と法廷における写真撮影の制限(最大決定昭和33年2月17日)

およそ、新聞が真実を報道することは、憲法二一条の認める表現の自由に属し、またそのための取材活動も認められなければならないことはいうまでもない。しかし、憲法が国民に保障する自由であつても、国民はこれを濫用してはならず、常に公共の福祉のために…

取材源の秘匿と表現の自由(最大判昭和27年8月6日)

刑訴法は捜査については、原則として強制捜査権を認めていないのであるから、捜査官が捜査の目的を達するために証人尋問の必要ありと認めた場合には、刑訴二二六条に規定する条件の下に、検察官からこれを裁判官に請求すべきものとしているのである。そして…

百選73事件 輸入書籍・図画等の税関検査(最大判昭和59年12月12日)

以上説示したところによれば、かかる通関手続の実際において、前記の税関長の通知は、実質的な拒否処分(不許可処分)として機能しているものということができ、右の通知及び異議の申出に対する決定(関税定率法二一条五項)は、抗告訴訟の対象となる行政庁…

百選72事件 「北方ジャーナル」事件(最大判昭和61年6月11日)

憲法二一条二項前段は、検閲の絶対的禁止を規定したものであるから(最高裁昭和五七年(行ツ)第一五六号同五九年一二月一二日法廷判決・民集三八巻一二号一三〇八頁)、他の論点に先立つて、まず、この点に関する所論につき判断する。 憲法二一条二項前段に…

百選69事件 「月刊ペン」事件(最一判昭和56年4月16日)

ところで、被告人が「a」誌上に摘示した事実の中に、私人の私生活上の行状、とりわけ一般的には公表をはばかるような異性関係の醜聞に属するものが含まれていることは、一、二審判決の指摘するとおりである。しかしながら、私人の私生活上の行状であつても…

百選68事件 「夕刊和歌山時事」事件(最大判昭和44年6月25日)

しかし、刑法二三〇条ノ二の規定は、人格権としての個人の名誉の保護と、憲法二一条による正当な言論の保障との調和をはかつたものというべきであり、これら両者間の調和と均衡を考慮するならば、たとい刑法二三〇条ノ二第一項にいう事実が真実であることの…

百選66事件 ノンフィクション「逆転」事件(最三判平成6年2月8日)

要するに、前科等にかかわる事実については、これを公表されない利益が法的保護に値する場合があると同時に、その公表が許されるべき場合もあるのであって、ある者の前科等にかかわる事実を実名を使用して著作物で公表したことが不法行為を構成するか否かは…

「エロス+虐殺」事件(東京高決定昭和45年4月13日)

現行法は人格的利益の侵害に対する救済として、損害賠償ないし原状回復を認めることを原則とするけれども、人格的利益と侵害された被害者は、また、加害者に対して、現に行われている侵害行為の排除を求め、或は将来生ずべき侵害の予防を求める請求権をも有…

「宴のあと」事件(東京地判昭和39年9月28日) 

3 このようにモデル小説におけるプライバシーは小説の主人公の私生活の描写がモデルの私生活を敷き写しにした場合に問題となるものはもちろんであるが、そればかりでなく、たとえ小説の叙述が作家のフイクシヨンであつたとしてもそれが事実すなわちモデルの…

百選64事件 電話の傍受と通信の秘密(最三決定平成11年12月16日)

2 電話傍受は、通信の秘密を侵害し、ひいては、個人のプライバシーを侵害する強制処分であるが、一定の要件の下では、捜査の手段として憲法上全く許されないものではないと解すべきであって、このことは所論も認めるところである。そして、重大な犯罪に係る…

百選62事件 駅構内でのビラ配布と表現の自由(最三判昭和59年12月18日)

所論は、憲法二一条一項違反をいうが、憲法二一条一項は、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであつて、たとえ思想を外部に発表するための手段であつても、その手段が他人の財産権、管理権…