Pacta Sunt Servanda

「合意は拘束する」自分自身の学修便宜のため、備忘録ないし知識まとめのブログです。 ブログの性質上、リプライは御期待に沿えないことがあります。記事内容の学術的な正確性は担保致しかねます。 判決文は裁判所ホームページから引用してますが、記事の中ではその旨の言及は割愛いたします。

2018-01-01から1年間の記事一覧

刑事訴訟法403条の2第1項違憲訴訟(最三判 平成21年7月14日)

(1) 所論は,即決裁判手続において事実誤認を理由とする控訴を制限する刑訴法403条の2第1項は,裁判を受ける権利を侵害し,憲法32条に違反する旨主張する。 しかしながら,審級制度については,憲法81条に規定するところを除いては,憲法はこれ…

百選192事件 刑事訴訟法157条の3・157条の4違憲訴訟(最一判平成17年4月14日)

刑訴法157条の3は,証人尋問の際に,証人が被告人から見られていることによって圧迫を受け精神の平穏が著しく害される場合があることから,その負担を軽減するために,そのようなおそれがあって相当と認められるときには,裁判所が,被告人と証人との間…

百選162事件 政見放送削除事件(最三判平成2年4月17日)

以上の事実関係によれば、本件削除部分は、多くの視聴者が注目するテレビジョン放送において、その使用が社会的に許容されないことが広く認識されていた身体障害者に対する卑俗かつ侮蔑的表現であるいわゆる差別用語を使用した点で、他人の名誉を傷つけ善良…

百選133事件 郵便法違憲判決(最大判決平成14年9月11日)

憲法17条は,「何人も,公務員の不法行為により,損害を受けたときは,法律の定めるところにより,国又は公共団体に,その賠償を求めることができる。」と規定し,その保障する国又は公共団体に対し損害賠償を求める権利については,法律による具体化を予…

百選150事件 国労広島地本事件(最三判昭和50年11月28日)

労働組合の規約により組合員の納付すべき組合費が月を単位として月額で定められている場合には、組合員が月の途中で組合から脱退したときでも、特別の規定又は慣行等のない限り、その月の組合費の全額を納付する義務を免れないものというべきであり、所論の…

百選149事件 労働組合の統制権と政治活動の自由(最大判昭和43年12月4日)

(4) さきに説示したように、労働組合は、その目的を達成するために必要な政治活動等を行なうことを妨げられるわけではない。したがつて、本件の地方議会議員の選挙にあたり、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動を推進することとし、統一候補…

百選148事件 岩教組学テ事件(最大判昭和51年5月21日)

右の次第であるから、地公法三七条一項前段において地方公務員の争議行為等を禁止し、かつ、同項後段が何人を問わずそれらの行為の遂行を共謀し、そそのかし、あおる等の行為をすることを禁止したとしても、地方住民全体ないしは国民全体の共同利益のための…

百選147事件 全逓名古屋中郵事件(最大判昭和52年5月4日)

(一) 公労法一七条一項の規定が憲法二八条に違反するものでないことは、当裁判所の確定した判例であり(昭和二六年(あ)第一六八八号同三〇年六月二二日大法廷判決・刑集九巻八号一一八九頁及び前記東京中郵事件判決)、この結論については、今日でも変更…

百選146事件 全農林警職法事件(最大判昭和48年4月25日)

一 よつて考えるに、憲法二八条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利」、すなわちいわゆる労働基本権を保障している。この労働基本権の保障は、憲法二五条のいわゆる生存権の保障を基本理念とし、憲法二七条の勤労の権利および…

百選145事件 東京都教組事件(最大判昭和44年4月2日)

(イ) ところで、地公法三七条、六一条四号の各規定が所論のように憲法に違反するものであるかどうかについてみると、地公法三七条一項には、「職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地…

百選144事件 全逓東京中郵事件(最大判昭和41年10月26日)

上告趣意は、公労法一七条一項の規定が憲法二八条および一八条に違反して無効であるという。しかし、右の規定が憲法の右の法条に違反するものでないことは、すでに当裁判所の判例とするところであり(前者については、昭和二六年(あ)第一六八八号同三〇年…

身障少年の教育を受ける権利(神戸地判平成4年3月13日)

(5) 以上のとおり、原告は、その中学時代の通学状況、学習能力、身体能力及び成績並びに本件高校における過去の身体障害者受入れの実績、施設及び教科履修などの点からしても、本件高校の全課程を履修することは可能であると認められるにもかかわらず、養…

百選141事件 伝習館高校事件(最一判平成2年1月18日)

三 以上の事実関係の下において、原審は、被上告人Aの前記二1(一)の日本史の授業における教科書使用状況は、それを使っての通史的授業が相当簡略になったものと認められるところから、学校教育法五一条、二一条に違反し、同(二)の日本史の考査問題の出…

百選140事件 旭川学テ事件(最大判昭和51年5月21日)

そして、この観点に立つて考えるときは、まず親は、子どもに対する自然的関係により、子どもの将来に対して最も深い関心をもち、かつ、配慮をすべき立場にある者として、子どもの教育に対する一定の支配権、すなわち子女の教育の自由を有すると認められるが…

百選ⅡA 6事件 教科書費国庫負担請求権(最大判昭和39年2月26日)

憲法二六条は、すべての国民に対して教育を受ける機会均等の権利を保障すると共に子女の保護者に対し子女をして最少限度の普通教育を受けさせる義務教育の制度と義務教育の無償制度を定めている。しかし、普通教育の義務制ということが、必然的にそのための…

百選137事件 堀木訴訟(最大判昭和57年7月7日)

二 そこで、まず、本件併給調整条項が憲法二五条に違反するものでないとした原判決が同条の解釈適用を誤つたものであるかどうかについて検討する。 憲法二五条一項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定しているが、…

牧野訴訟(東京地判昭和43年7月15日) 

一 憲法一四条一項は、「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と規定している。この規定は、国民に対し、法の下における平等を保障したものであるから…

百選136事件 朝日訴訟(最大判昭和42年5月24日)

おもうに、生活保護法の規定に基づき要保護者または被保護者が国から生活保護を受けるのは、単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく、法的権利であつて、保護受給権とも称すべきものと解すべきである。しかし、この権利は、被保護者自…

百選130事件 家事審判法による審判の合憲性(最大決定昭和40年6月30日)

これを要するに、夫婦の一方が故なく同居しない、又は同居させない場合に、他の一方から同居すべきこと又は同居させるべきことを求める争訟においては、同居義務の存否を確認し、義務ありとすればこれが履行を命ずる裁判をなすべきであつて、その性質は、純…

裁判を受ける権利(最大判昭和24年3月23日)

按ずるに憲法第三二条は、何人も裁判所において裁判を受ける権利を奪はれないと規定しているが、同条の趣旨は凡て国民は憲法又は法律に定められた裁判所においてのみ裁判を受ける権利を有し、裁判所以外の機関によつて裁判をされることはないことを保障した…

百選122事件 交通事故の報告義務と黙秘権(最大判昭和37年5月2日)

しかしながら、道路交通取締法(以下法と略称する)は、道路における危険防止及びその他交通の安全を図ることを目的とするものであり、法二四条一項は、その目的を達成するため、車馬又は軌道車の交通に因り人の殺傷等、事故の発生した場合において右交通機…

百選121事件 高田事件(最大判昭和47年12月20日)

当裁判所は、憲法三七条一項の保障する迅速な裁判をうける権利は、憲法の保障する基本的な人権の一つであり、右条項は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、さらに個々の刑事…

百選120事件 死刑と残虐な刑罰(最大判昭和23年3月12日)

生命は尊貴である。一人の生命は、全地球よりも重い。死刑は、まさにあらゆる刑罰のうちで最も冷厳な刑罰であり、またまことにやむを得ざるに出ずる窮極の刑罰である。それは言うまでもなく、尊厳な人間存在の根元である生命そのものを永遠に奪い去るものだ…

百選119事件 川崎民商事件(最大判昭和47年11月22日)

所論のうち、憲法三五条違反をいう点は、旧所得税法七〇条一〇号、六三条の規定が裁判所の令状なくして強制的に検査することを認めているのは違憲である旨の主張である。たしかに、旧所得税法七〇条一〇号の規定する検査拒否に対する罰則は、同法六三条所定…

百選115事件 成田新法事件(最大判平成4年7月1日)

「 そこで検討するに、本法三条一項一号に基づく工作物使用禁止命令により保護される利益は、新空港若しくは航空保安施設等の設置、管理の安全の確保並びに新空港及びその周辺における航空機の航行の安全の確保であり、それに伴い新空港を利用する乗客等の生…

百選113事件 福岡県青少年保護育成条例事件(最大判昭和60年10月23日)

そこで検討するのに、本条例は、青少年の健全な育成を図るため青少年を保護することを目的として定められ(一条一項)、他の法令により成年者と同一の能力を有する者を除き、小学校就学の始期から満一八歳に達するまでの者を青少年と定義した(三条一項)上…

第百選112事件 第三者所有物没収事件(最大判昭和37年11月28日)

しかし、第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者に対し、何ら告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であつて、憲法の容認しないところであるといわなければならない。けだし、憲法二九…

百選111事件 帆足計事件(最大判昭和33年9月10日)

しかし憲法二二条二項の「外国に移住する自由」には外国へ一時旅行する自由をも含むものと解すべきであるが、外国旅行の自由といえども無制限のままに許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべきである。そして旅券発給を…

予防接種事故と補償請求(最二判平成10年6月12日)

したがって、不法行為の被害者が不法行為の時から二〇年を経過する前六箇月内において右不法行為を原因として心神喪失の常況にあるのに法定代理人を有しなかった場合において、その後当該被害者が禁治産宣告を受け、後見人に就職した者がその時から六箇月内…

百選108事件 河川附近地制限令事件(最大判昭和43年11月27日)

よつて按ずるに、河川附近地制限令四条二号の定める制限は、河川管理上支障のある事態の発生を事前に防止するため、単に所定の行為をしょうとする場合には知事の許可を受けることが必要である旨を定めているにすぎず、この種の制限は、公共の福祉のためにす…