身障少年の教育を受ける権利(神戸地判平成4年3月13日)
(5) 以上のとおり、原告は、その中学時代の通学状況、学習能力、身体能力及び成績並びに本件高校における過去の身体障害者受入れの実績、施設及び教科履修などの点からしても、本件高校の全課程を履修することは可能であると認められるにもかかわらず、養護学校の方が望ましいという理由で本件高校への入学を拒否することは、万難を排して本件高校へ入学し、自己の可能性を最大限に追求したいという原告の希望を無視することになり、その結果は、身体に障害を有する原告を不当に扱うものであるといわなければならない。
(一) 以上のように、本件処分は、「高等学校における全課程の履修可能性」の判断に際し、その前提とした事実又は評価において重大な誤りをしたことに基づく処分であって、被告校長が本件高校への入学許否の処分をする権限の行使につき、裁量権の逸脱又は濫用があったと認めるのが相当である。