Pacta Sunt Servanda

「合意は拘束する」自分自身の学修便宜のため、備忘録ないし知識まとめのブログです。 ブログの性質上、リプライは御期待に沿えないことがあります。記事内容の学術的な正確性は担保致しかねます。 判決文は裁判所ホームページから引用してますが、記事の中ではその旨の言及は割愛いたします。

百選25事件 校則バイク禁止事件(最三判平成3年9月3日)

 所論は、いわゆる三ない原則を定めた本件校則(以下「本件校則」という。)及び本件校則を根拠としてされた本件自主退学勧告は、憲法一三条、二九条、三一条に違反する旨をいうが、憲法上のいわゆる自由権的基本権の保障規定は、国又は公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障することを目的とした規定であって、専ら国又は公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互間の関係について当然に適用ないし類推適用されるものでないことは、当裁判所大法廷判例(昭和四三年(オ)第九三二号同四八年一二月一二日判決・民集二七巻一一号一五三六頁)の示すところである。したがって、その趣旨に徴すれば、私立学校である被上告人設置に係る高等学校の本件校則及び上告人が本件校則に違反したことを理由の一つとしてされた本件自主退学勧告について、それが直接憲法の右基本権保障規定に違反するかどうかを論ずる余地はないものというべきである。所論違憲の主張は、採用することができない。そして、所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、原審の確定した事実関係の下においては、本件校則が社会通念上不合理であるとはいえないとした原審の判断は、正当として是認することができる。右判断は、所論引用の判例と抵触するものではない。原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に立って原判決を論難するか、又は原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。