Pacta Sunt Servanda

「合意は拘束する」自分自身の学修便宜のため、備忘録ないし知識まとめのブログです。 ブログの性質上、リプライは御期待に沿えないことがあります。記事内容の学術的な正確性は担保致しかねます。 判決文は裁判所ホームページから引用してますが、記事の中ではその旨の言及は割愛いたします。

2018-08-19から1日間の記事一覧

精神的障碍をもつ人と投票権(最一判平成18年7月13日)

(2)憲法における選挙権保障の趣旨にかんがみれば,国民の選挙権の行使を制限することは原則として許されず,国には,国民が選挙権を行使することができない場合,そのような制限をすることなしには選挙の公正の確保に留意しつつ選挙権の行使を認めること…

広島地判平成20年12月25日

(2)ところで,生活保護を受ける権利は,被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に付与された一身専属的な権利であって,相続の対象になり得ない。また,仮に被保護者の生存中に本来支払うべき給付が支払われていないとしても,当該給付を…

東京高等裁判所平成22年5月27日

原告らが主張するように、老齢加算の廃止によって、老齢加算減額前満額支給時との比較において、保護費全体が約二割の減額になるような場合、激変緩和の措置として、三年間をかけて段階的に廃止することとされたとはいえ、当該満額支給をされていた者にとっ…

東京地判平成20年6月26日

1 法59条1項が定める「配偶者」の概念は,遺族厚生年金が被保険者等の死亡等の場合にその家族の生活を保障する目的で支給される公的給付であることを勘案すると,被保険者等の生活の実態に即し,現実的な観点から理解すべきであって,戸籍上届出のある配…

百選139事件 学生無年金障害者訴訟(最二判平成19年9月28日)

第1 上告代理人新井章ほかの上告理由第1点,第4点のうち昭和60年改正前の法7条2項8号,平成元年改正前の法7条1項1号イの規定等の憲法14条及び25条違反をいう部分について 1 法30条1項1号は,障害基礎年金(昭和60年改正前は障害年金。…

所得税更正処分取消請求事件(福岡高判平成20年10月21日)

納税者は,現在妥当している租税法規に依拠しつつ,現在の法規に従って課税が行われることを信頼しながら各種の取引を行うのであるから,後になってその信頼を裏切ることは,憲法84条が定める租税法律主義が狙いとする一般国民の生活における予測可能性,…

百選89事件 広島市暴走族追放条例事件判決(最三判平成19年9月18日)

なるほど,本条例は,暴走族の定義において社会通念上の暴走族以外の集団が含まれる文言となっていること,禁止行為の対象及び市長の中止・退去命令の対象も社会通念上の暴走族以外の者の行為にも及ぶ文言となっていることなど,規定の仕方が適切ではなく,…

メイプルソープ事件(最三判平成20年2月19日) 

関税定率法21条1項4号に掲げる貨物に関する税関検査が憲法21条2項前段にいう「検閲」に当たらないこと,税関検査によるわいせつ表現物の輸入規制が同条1項の規定に違反しないこと,関税定率法21条1項4号にいう「風俗を害すべき書籍,図画」等と…

百選75事件 NHK記者証言拒絶事件(最三小決平成18年10月3日)

報道関係者の取材源は,一般に,それがみだりに開示されると,報道関係者と取材源となる者との間の信頼関係が損なわれ,将来にわたる自由で円滑な取材活動が妨げられることとなり,報道機関の業務に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になると解されるので…

葛飾ビラ配布事件(最二判平成21年11月30日)

第1 弁護人後藤寛ほか及び被告人本人の各上告趣意のうち,本件被告人の行為をもって刑法130条前段の罪に問うことは憲法21条1項に違反するとの主張について 1 原判決の認定及び記録によれば,本件の事実関係は,次のとおりである。 (1) 本件マンシ…

百選63事件 立川テント村事件(最二判平成20年4月11日)

(2) 前記1の立川宿舎の各号棟の構造及び出入口の状況,その敷地と周辺土地や道路との囲障等の状況,その管理の状況等によれば,各号棟の1階出入口から各室玄関前までの部分は,居住用の建物である宿舎の各号棟の建物の一部であり,宿舎管理者の管理に係…

百選74事件 公立図書館図書廃棄事件(最一判平成17年7月14日)

4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。 (1) 図書館は,「図書,記録その他必要な資料を収集し,整理し,保存して,一般公衆の利用に供し,その教養,調査研究,レクリエーション等に資することを目的…