Pacta Sunt Servanda

「合意は拘束する」自分自身の学修便宜のため、備忘録ないし知識まとめのブログです。 ブログの性質上、リプライは御期待に沿えないことがあります。記事内容の学術的な正確性は担保致しかねます。 判決文は裁判所ホームページから引用してますが、記事の中ではその旨の言及は割愛いたします。

2018-03-14から1日間の記事一覧

百選73事件 輸入書籍・図画等の税関検査(最大判昭和59年12月12日)

以上説示したところによれば、かかる通関手続の実際において、前記の税関長の通知は、実質的な拒否処分(不許可処分)として機能しているものということができ、右の通知及び異議の申出に対する決定(関税定率法二一条五項)は、抗告訴訟の対象となる行政庁…

百選72事件 「北方ジャーナル」事件(最大判昭和61年6月11日)

憲法二一条二項前段は、検閲の絶対的禁止を規定したものであるから(最高裁昭和五七年(行ツ)第一五六号同五九年一二月一二日法廷判決・民集三八巻一二号一三〇八頁)、他の論点に先立つて、まず、この点に関する所論につき判断する。 憲法二一条二項前段に…

百選69事件 「月刊ペン」事件(最一判昭和56年4月16日)

ところで、被告人が「a」誌上に摘示した事実の中に、私人の私生活上の行状、とりわけ一般的には公表をはばかるような異性関係の醜聞に属するものが含まれていることは、一、二審判決の指摘するとおりである。しかしながら、私人の私生活上の行状であつても…

百選68事件 「夕刊和歌山時事」事件(最大判昭和44年6月25日)

しかし、刑法二三〇条ノ二の規定は、人格権としての個人の名誉の保護と、憲法二一条による正当な言論の保障との調和をはかつたものというべきであり、これら両者間の調和と均衡を考慮するならば、たとい刑法二三〇条ノ二第一項にいう事実が真実であることの…

百選66事件 ノンフィクション「逆転」事件(最三判平成6年2月8日)

要するに、前科等にかかわる事実については、これを公表されない利益が法的保護に値する場合があると同時に、その公表が許されるべき場合もあるのであって、ある者の前科等にかかわる事実を実名を使用して著作物で公表したことが不法行為を構成するか否かは…

「エロス+虐殺」事件(東京高決定昭和45年4月13日)

現行法は人格的利益の侵害に対する救済として、損害賠償ないし原状回復を認めることを原則とするけれども、人格的利益と侵害された被害者は、また、加害者に対して、現に行われている侵害行為の排除を求め、或は将来生ずべき侵害の予防を求める請求権をも有…

「宴のあと」事件(東京地判昭和39年9月28日) 

3 このようにモデル小説におけるプライバシーは小説の主人公の私生活の描写がモデルの私生活を敷き写しにした場合に問題となるものはもちろんであるが、そればかりでなく、たとえ小説の叙述が作家のフイクシヨンであつたとしてもそれが事実すなわちモデルの…

百選64事件 電話の傍受と通信の秘密(最三決定平成11年12月16日)

2 電話傍受は、通信の秘密を侵害し、ひいては、個人のプライバシーを侵害する強制処分であるが、一定の要件の下では、捜査の手段として憲法上全く許されないものではないと解すべきであって、このことは所論も認めるところである。そして、重大な犯罪に係る…